終るというより、放送枠が土曜の深夜に移動するそうですが、
一時期ハマって見ていただけにとても残念です。
まぁ、もう何年も見てなかったけど。
個人的に覚えているのは、
「グランドロマン」という言葉が非常にしっくりくる渡辺裕之主演『愛の嵐』あたりからでしょうか。
『華の嵐』『砂の城』『真珠夫人』『牡丹と薔薇』……などなど。
和風なのにどこかバタくさい大仰さが、好きで好きでたまりませんでした。
で、『屋根裏部屋の花たち』V.C.アンドリュース著
(中川晴子 訳/扶桑社ミステリー文庫)です。

日本での発売は1989年。実に30年近く前の作品になりますが、
これがまさにグランドロマン!
(グランドロマンの意味が、書いててよくわからないけれども)
内容はざっくり言えば……
監禁、愛憎、近親相姦、子殺し……など。
ドラマの中で次々と襲い来る試練が、とにもかくにも大仰なのです!!
舞台は、1950年代のアメリカ。
物語の中心となるのは、
近所の人々に「ドレスデンドールズ(陶器人形たち)」と呼ばれる、
美しい家族です。
ドーランギャンガー一家は、
主人公である少女・キャシー、
兄のクリス、
双子の弟と妹、
そして素晴らしく美しい父と母の6人家族。
働き盛りの父親が亡くなったことから、物語はスタートします。
母親の実家に身を寄せた子供たちを待っていたのは、
お城のように壮大な屋敷の屋根裏部屋で暮らす毎日。
ある理由から、キャシー・クリス・双子の弟妹の4人は、
母親に屋根裏部屋に閉じ込められてしまうのです。
「明日は出られるから」「来週は出られるから」……と、
少しずつ子供たちを自由にする日を先のばしにする母親。
ロクに日の光を浴びることもできない子どもたちは、
透き通るほどに白くなっていきます。
実はこの作品、アメリカでは映画にもなっていて、
私は小説より先に、この映画をテレビで見てしまい
(テレ東かなんかで昼にやっていた)、
子どもたちのあまりの肌の白さに、恐怖でマジ泣きした記憶があります。
映画『Flowers in the Attic』
英語のみですが、見てるとだいたい内容わかります。
屋根裏部屋の子どもたちに少しずつ興味を失っていく母親。
食事も減らされ、どんどん弱っていくどもたち。
子どもたちを虐待する祖母。
思春期に閉じ込められ、
互いを異性として意識せざるを得なかったキャシーとクリスの美しい兄妹……。
こちらは2015年のリメイクから。
屋根裏から出られない子どもたちは、わずかな時間だけ、屋根に出て日光を浴びます。
でもぜんぜん焼けない。色白だから。
閉じた世界で巡る日々に耐えられず、
キャシーはとうとう、
母親と対決し、自らの人生の主導権を取り戻すための戦いを始めます。
一方、クリスは超イケメンのしっかり者ですが、
ものすごいマザコンでもあるので、
母親が自分たちを捨てようとしていることを認めようとしません。
このへんが、さすがアメリカ中の女性を熱狂させたV.C.アンドリュースです。
理想の王子様がすごいマザコン。
そんな話、
イヤすぎて誰だって読みたくなるに決まってる。
初めから最後まで、そんな感じのV.C. アンドリュースの手腕が冴えまくります。
「眠れないから何か読むか」で読み始めたら、
止められず徹夜する羽目になること請け合いです。
ほら、どうです。
かつてのイケイケだったころの東海テレビの連ドラにぴったりでしょう。
キャシーは佐々木希あたりで、ぜひ。
セリフを棒読みしてくれそうなあたりも、
昼ドラにしっくりくる気がするのですが、どうでしょう。
今でも遅くないはず。どうか、ぜひ。
ちなみに、映画版と小説版は結末が違うので、
そのあたりも見比べてみるとかなり楽しいです。
本作には、
子どもたちのその後を描いた続編、
『炎に舞う花びら』
『棘があるなら』
『屋根裏部屋へ還る』と、
家族崩壊のきっかけをつくった祖母の若き日々を描いた
『ドールハウスの夢』があります。
『屋根裏部屋の部屋たち』を手にとってしまった人は、
おそらく読むのをやめられず、ここまで手を伸ばすはずです。
って、ここまで紹介しておいて、とっくの昔に絶版ではあるのですが。
でも、アマゾンとかで中古で買えますよ。
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